最近読んだマンガ

2003/07/03 山岸凉子『舞姫 テレプシコーラ』


 昨日買ったマンガは結局全部読んでしまった……。感想でも書いてみようか……。『20世紀少年』と『ベルセルク』に関しては、惰性で買っている、という面がかなり大きい……。やっぱり山岸凉子『舞姫 テレプシコーラ』4巻が一番おもしろかった。知らない人もいるかもしれないので、説明すると、これはバレエマンガで、主人公は小学生の姉妹(母親はバレエ教室の先生)。バレエの技術やバレエ業界(?)の描き方もすごくリアルで面白いのですが、なんといっても、子供と大人それぞれの人間模様がすごい。
 いまさらいうまでもないかもしれませんが、山岸凉子という人は、キャラクターの細かい心理描写、ものすごいうまいですね(それにしても、ストーリーが、ほとんど、吹き出しのない主人公の内声を表すセリフで進んでいくようなところがある)。特にわき役の描き方にうならされます。たとえば金子先生っていう、主人公が習っているバレエ教室の先生、ああいう一見地味な人を、しかも存在感あるように描くというのは、うまいなあ、と思ってしまいます。

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 今日の話題はまたもや『舞姫 テレプシコーラ』(メディアファクトリー)。というか、自分でもどうかしている、と思うほど、このマンガにはまりつつあります。というか、バレエというものに急に興味が出てきたのです。3日の日記では、バレエをバレーと表記していた、というレベルだったのに(今は直してあります)。踊りのBALLETはバレエと表記するのが普通なんですね? いや、なんか変だな、とは思ったのですが。
 『舞姫 テレプシコーラ』は、バレエの知識がないまま読んでも十分すごいマンガだ、ということは分かるのですが、読み返しているうちに、マンガで描かれているバレエそのものを、見たくなってきました。というわけで、とりあえず、amazonで注文して、キーロフ・バレエのくるみ割り人形のDVDを買ってしまいました。これを見ておかないと『舞姫 テレプシコーラ』4巻はよくわからない、というところがある。ふむふむ、これはワイノーネン版で、千花が出演するピーター・ライト版とは違うわけだ……なーんて、すでにうんちくを語りはじめています。バレエのテクニックにも、それぞれフランス語でかっこいい名前がついていて、細かく見ようと思えばいくらでもできる。うんちくを語りやすい世界ですね。面白い。バレエ。というわけでただいま研究中。とりあえず、ダンスマガジン編のムック本『バレエって、何?』(新書館)、鈴木晶の『バレエへの招待』(ちくまプリマーブックス)、といういかにも初心者の本を購入しました。
 ……が、バレエというのは一方で一種差別的な視線にさらされているところがあると思う。ようするに、志村けんの東村山音頭一丁目、とか、男性ダンサーのもっこり、とか、そういうイメージですね。私の中にもそういう意識はどこかにあったかもしれない……。しかし、そういう心理的壁(?)のためにバレエファン(特に男性)の数が少ないとすると、もったいないように思います。ずいぶん面白い世界みたいですよ。バレエ。

 芸術や文化には、普遍性の高いものとそうでないものとがあります。たとえば現代では、世界の多くの人がアメリカ映画に感動し、アメリカのポピュラー音楽を聴いています。これはアメリカの経済力と無縁ではないでしょうが、それだけで説明できることではありません。アメリカの文化は全体的に普遍性が高いのです。ただし、普遍性の高い芸術のほうが普遍性の低い芸術よりも優れているというわけではありません。つまり普遍性が高いか低いかということは、優れているかどうかとはかならずしも関係ありません。アメリカのポユラー・ソングと日本の演歌のどちらが優れているかという問いはあまり意味がありませんが、前者のほうが後者よりも普遍性が高いということはできます。(……)バレエはヨーロッパで生まれた芸術ですが、こんなに世界的に浸透したのは、他のジャンルのダンスよりも普遍性が高かったからです。(鈴木晶『バレエへの招待』ちくまプリマーブックス、2002年、p.207f)

 なるほど。その辺の「普遍性」という事に関しては、ジャズについても感じていたことです。