1997.4.10. 侍ジャイアンツ

 またまた野球の話です。これまた歳がばれるのですが、私が子どものころ「侍ジャイアンツ」というアニメがありました。これは、番場番というとんでもない名前(漢字違うかも)のピッチャーが巨人に入って活躍する話なのですが、星飛雄馬の大リーグボールにあたる彼の決め技は、ハイジャンプ投法というマウンドから三メートルぐらいジャンプして投げる球で、今考えるとムチャクチャな話でした。で、なにせずいぶん昔の話なので勘違いがあるかもしれませんが、私の憶えているかぎり、この番君はもともとアンチ巨人だったのです。ところがその番君のところに巨人のスカウトマンが来て熱心に説得する。当然番君は断るわけです。「おれあむかしからでっかいやつはでえっ嫌えなんでえ。巨人には絶対いかねえ!」えらいっ!このあたり最近の誰かさんに聞かせてやりたいね。K原とかね。
 ところでこの番君は漁師の息子で、スカウトマンは、母親と二人暮らし(父親は海で死んだ)の彼を漁村に訪ねに来るのですが、番君は「けえってくれ」と言ったきりもう会おうともしない。スカウトマンは寒空の下番君が出てくるのを家の外でずっとまっているのです。すると、こんな頑固な(立派な)番君のそばに、母親がすーっと近づいてきて、こんなことを言うのです。「番や、おまえのとおちゃんが死んだときのことを憶えてるかい?とおちゃんはでっかい鯨をたった一人で倒して死んだ。とおちゃんはでっかい鯨の口の中に飛び込み、腹の中からモリを突き通して鯨を倒したんだ。でっかいやつは内側から倒すんだ、と言ってね」その言葉を聞いた番君は、こう叫ぶのです「そうか・・・でっかいやつは内側から倒せばいいんだ!」そして、彼は一転して巨人に入る決心をするのです。
 ということは、彼は巨人に入ったものの、それは巨人を倒すための手段であって、彼はいずれ父親が内部からモリで鯨を倒したように、巨人を内側から倒してくれるんだろうな、と私は子供心に(子どものときからアンチ巨人でした)思ったわけです。ところが、いつまでたっても番君は巨人を倒してはくれない。それどころか、一生懸命働いて巨人の優勝のために貢献してしまうのです。でも私は信じていました。いや、彼はまず作戦として巨人に自分を信用させているだけで、最後にはやってくれるだろう、と。
 話が違う、と気づいたときには番組が終わっていたような気がします。私は、番組の最後に「協力・読売巨人軍」というテロップが流れ、ジャイアンツの旗がはためいていたのを忘れていたのでした。今思えば、このアニメは、対立物をも巧妙に取り込んでしまう権力というものの恐ろしさを教えてくれる番組だったのかもしれません。

1997.6.26. 侍ウインドウズ

 前から言ってますが、私はウインドウズユーザーでありながらウインドウズが大嫌いです。結局、ウインドウズというのは、マックのまがい物、それもかなり質の悪い模造品なのです。だから、世間で言われているような、マック対ウインドウズなどという戦いは、実を言うと存在しないのです。それは、タマゴッチとニュータマゴウオッチ、あるいは蟹と蟹カマを比べるようなもんなのですから。それなのに、ウインドウズの方が勝った(つまり蟹よりカニカマの方がうまい)かのようにいわれているのは、笑止千万と言わざるを得ません。マック対DOSというのであれば、それはコンセプトが違うのだからまだ戦いになる余地はあるとは思いますが(DOSのほうが優れている面もあると思う)しかし、マック対ウインドウズは戦いではありません。
 これも前から言ってますが、私は巨人が大嫌いです。そして、私がウインドウズが嫌いなのは、ウインドウズ(というかマイクロソフト社)が巨人だからです(唐突ですが)。巨人(=マイクロソフト)は、金に飽かせて、他の球団から選手を買ってきて(=マックから技術を盗んできて)強い、強い、とか言ってるのです。ほんとむかつきます。そういう意味ではマック(アップル社)は阪神です。巨人(マイクロソフト)が無個性の優等生であるのに対して、非常に個性があるのだが、経営陣があほで巨人に負けてしまっているところ、熱烈なファンがいるところ、など、ほんとそっくりです。
 というわけで、ウインドウズが嫌いでありながらウインドウズを使っている私は、コンピューター界における番場番なのです。ということは、結局ウインドウズに貢献してしまっているのかな。